節分と聞くと、2月3日を思い浮かべますよね? でも2025年は、今日2月2日が節分なのです。「3日だ」と勘違いして、豆や恵方巻の準備が出来ていない方もいらっしゃるかも? かく言う筆者も、恵方巻を予約する際に25年の節分が2月2日であることを知りました……。
今回は、これまで1.2万本以上の記事を執筆し、5200回以上取材してきた元テレビ局芸能記者で現・フリー記者のコティマムが、節分の日がズレる理由や、節分の意味、節分とセットで聞かれる言葉「追儺式(ついなしき)」について解説します。
「季節を分ける」節分 立春前日の節分はまさに大晦日だった

節分の日付がずれるのは、「二十四節気(にじゅうしせっき)」という暦の仕組みが関係しています。二十四節気は、1年を太陽の動きに合わせて24等分したもので、立春、雨水、啓蟄など、季節の移り変わりを表す言葉が割り当てられています。日本の旧暦(太陰太陽暦)では、季節を表すために用いられていました。
そして節分とは、本来「季節を分ける」という意味があり、それぞれの「季節の始まりの日の前日」を指します。ちなみに、それぞれ「立春、立夏、立秋、立冬の前日」が節分となります。
私たちの生活では現在、グレゴリオ暦(いわゆる太陽暦)を使用しています。グレゴリオ暦では、「地球が太陽の周りを1周する時間を365日と少し」としていますが、実際には約365.2422日かかります。このわずかな端数を調整するために「うるう年」がありますが、それでもわずかな誤差が生じてしまうのです。
この誤差が蓄積されると、立春の日付が2月3日になったり、4日になったり、ごくまれに5日になることもあります。立春がずれると、その前日である節分の日付も連動してズレるのです。25年の立春は2月3日なので、その前日である2月2日が節分になります。実は21年も、25年と同じ2月2日の節分でした。21年当時は、「節分が2月2日になるのが1897年以来124年ぶり」ということで話題になりました。今回は4年ぶりの2月2日ですね。
そして、二十四節気の立春(2月3日~5日頃)は、1年のスタートにあたります。つまり、立春の前日にあたる節分は、大晦日ともいえます。
旧暦の大晦日に行われた疫鬼を追い払う追儺式
それぞれの節分で季節が移り変わっていきますが、はるか昔は「季節の変わり目には邪気(鬼)が生じる」と信じられていました。邪気を追い払うための悪霊祓いなどの行事も執り行われていました。
こうした行事は、もともと平安時代の頃に中国から伝わり行われていた「追儺(ついな)」から生まれたといいます。中国の宮中で旧暦の大晦日、つまり「立春の前日の節分」に行われたいた「疫鬼や疫神を祓う儀式」です。民間では節分に行われる「鬼を払う行事」のことを指します。節分に行われる豆まきも追儺の一種です。
追儺式の流れは場所や時代によって多少異なりますが、一般的には以下のとおりです。
・鬼の登場: 赤鬼、青鬼などが登場し、暴れ回ります。鬼は疫病や災厄を象徴しています。
・方相氏(ほうそうし)の登場: 四つ目の仮面をかぶり、矛と盾を持った方相氏が登場します。方相氏は、陰陽道の神祇で、悪鬼を追い払う力を持つとされています。
・呪文の唱え: 陰陽師が呪文を唱え、鬼を威嚇します。
・豆まき: 「鬼は外、福は内」と唱えながら、鬼に向かって豆をまきます。豆は魔除けの力を持つと信じられています。
・鬼の退散: 豆まきによって鬼は退散し、福が訪れるとされています。